第175回直木賞(令和8年/2026年上半期)決定の夜に

直木三十五の墓と第175回候補作5つ
直木賞に興味をもって早ン十年。だれが候補になってだれが受賞しようが、すべては他人サマの出来事です。それでも半年に一回、これが決まる日になると、興味まんまん、直木賞の専門サイトをつくって以来、関心のレベルが落ちたことがありません。落ちたのはこちらの体力ぐらいです。
そうなんですよ、年々、直木賞の決定を知った瞬間からドッと疲れるようになりました。しかも、夏の直木賞の日は猛暑のことが多く、疲労感もひとしおです。今日、令和8年/2026年7月15日(水)も、いまはもう夜が深いですが、何だか知らないうちにヘトヘトです。
まあ、だれに強制されたわけでもなく勝手に興奮して、勝手に疲労しているんですから、正直、ひとに誇れるような生き方じゃありません。
それでも命が尽きるまで、直木賞に対する興味のなくなる気配が、いまのところありません。このまま死んでいければ、直木賞のサイト運営者としては本望でしょう。
で、今日も疲れたんで、このまま疲労と快楽に包まれながら寝ちゃいたい。……とは思ったんですが、いくら疲れていようが、これだけは書いておかないと寝入れません。
第175回(令和8年/2026年上半期)の候補作は5つありました。5人ものの人が、候補になることを承諾してくれたのですから、直木賞大好き人間にとってこれほど幸せなことがあるでしょうか。ガヤガヤと騒がしいこの期間に我が身を置くことを引き受けてくださって、面白い小説を読ませてくれている候補作家の方がたには、腰を折り、這いつくばって、御礼を申し上げたいと思います。
ス、ス、スカーレットさん! いいや、蝉谷めぐ実さん!! 直木賞をとろうがとるまいが、『見えるか保己一』は個人的に一生の思い出になる小説になりました。これはもう感謝どころの騒ぎじゃなく、いったい何をすればこのご恩に報いれるんでしょうか。正直思いつかないほどの読書体験&今日までの興奮体験でした。蝉谷さんには、これからいくらでも直木賞の機会は訪れると確信していますが、今回のことで、直木賞を嫌いにならないでくれることを心から願います。
『#台所のあるところ』に収められた一編一編、趣向を変えたハナシを楽しみながらも、いったい最後にどこに連れていかれるのか。最大の楽しみが最終編で訪れるという、小説を読む楽しみに没入しました。原田ひ香さんの手腕には、うならずにはいられません。文学賞とは関係なく、多くの人に読んでもらいたい小説であることは明らかです。そんな小説、これからもどんどん読ませてください。
心理的などんでん返し。叙述の妙による逆転の展開。凪良ゆうさんの作品は、どこにもミステリーとは書いていないのに、確かにミステリーの魅力がぎっちり詰まっています。今回候補になった『多類婚姻譚』もまたそうです。読んでいるあいだじゅうこれほどドキドキ・ワクワクさせられて、凪良ゆうという作家のスゴみを今作も堪能しました。ニワカのファンすぎて大きな声で言うのは恥かしいので、これからは小さな声で、ワタクシは凪良ゆうファンです、とこっそりつぶやいていきます。
候補作の発表以来、若林正恭さんのおかげで、今回の直木賞が何百倍か楽しくなった! ということは、多くの人が賛同してくれると思います。しかし、若林さんと直木賞の話題を語る人の何割かが『青天』を読んでいないことを知って、ワタクシは愕然としました。いや、マジかよ。こんな面白い小説を読まずに、ニュースだけ見て面白がっているの? もったいない。きっと若林さんの小説二作目は『青天』を超えてくるものと期待して、次なる機会を待ちたいと思います。またぜひ候補入り、承諾してくださると嬉しいです。
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感慨・イズ・ザ・無量です。受賞しましたか。ついに受賞してくださいましたか。
朝倉かすみさんの『けんぐゎい』を読み進めているときに感じた緊張感と高揚感。終盤に近づくにつれて、物語が終わってしまうことの淋しさと、いま自分はスゴいもんを読んでいるんじゃないかという幸福感。
朝倉さんにはもう少し早い時期に直木賞がやってきてもよかったはずだ、とはたから見ていると思いますが、ただ、この辺りの感覚は、ご本人だけにしかわからない思いがきっとあるでしょう。今後、受賞記念のエッセイなどで、そういうのを読めることを楽しみにしていますが、1年半まえの冬、第172回(令和6年/2024年下半期)のとき、いっしょに直木賞の結果発表を待たせてもらった小樽の方がたが、いまごろ、どれだけ喜ばれているか。それを想像するだけでもう、感慨・イズ・ザ・無量です






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