第19期のテーマは「選考とは関係のない直木賞選評」。作品を評価するばかりが選評じゃないぜ、と世に知らしめた文章を取り上げてみます。
このブログを始めたのは平成19年/2007年5月6日です。それから18年が経ちました。
どうしてブログなんか始めようと思ったのか。すでにそのとき「直木賞のすべて」というサイトをつくって7年ほど経っていましたが、毎日毎日データベースをつくっていても、直木賞については知らないことがたくさんある。もっと直木賞のことを調べていこう、調べるだけだと忘れる一方でなので、少しずつ書き残しておこうと思い立った……んだと思います。正直ブログを始めた理由なんか、まったく覚えていません。
で、一週に一回ずつ書きつづけ、直木賞が決まる前後には追加のエントリーをアップなどしたりして、こないだ記事数が1000本を超えました。18年で1000本。うーん、これだけやっても、直木賞について詳しくなったという実感が全然わきません。ほんとに無駄な時間を過ごしてきたな、と思います。
いやまあ、そんなことはどうでもいいんです。全人類にとって無駄であっても、ワタクシひとりが楽しく過ごせればそれでいい。……ということで、この5月からまたテーマを変えて、どこかで直木賞と結びつくハナシを書いていきたいと思います。
令和7年/2025~令和8年/2026年の一年間は、改めて直木賞の選評を読み直してみることにしました。
直木賞には毎回、選評が書かれます。文学賞と呼ばれるものの選評のなかで、最も面白い部分はどこでしょうか。それは、候補になっている作品とか作家とかにはあまり関係ないことが書かれているところです。
誰の、どの作品が、どういうふうによくて、どういうふうに悪いのか。自分はそれに対してどう感じ、どんな評価を下したのか。選考委員たちの意見をうかがい知るのが、選評を読む楽しみなのはたしかですけど、実際には、そういうハナシとは関係がない、選者のエッセイふうな、あるいは詩的な、あるいは単なる無駄バナシのような部分が、直木賞の選評には数多く記されてきました。
それをいまさら取り上げたところで、何ひとつ文学に資するものはありません。無駄中の無駄です。しかし、そういう選評に出会うとワクワクしちゃう自分もいます。ええい、文学なんて知ったことか。おれは直木賞の全体、細部、そのすべてが楽しいんだ。ということで、これから一年間、過去の選評のなかから、選考とはまず結びつかなそうな箇所をピックアップしていくことにしました。
まず最初は、ずっとさかのぼって直木賞が始まったころ。誰も直木賞の選評なんて夢中になって読む奴はいない、と当時ですら言われていたときに書かれ、しかしその後「伝説的な選評」にまで格上げされてしまった、一人の選考委員の選評から始めます。
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