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2021年7月14日 (水)

第165回直木賞(令和3年/2021年上半期)決定の夜に

 ウイルスの感染拡大を食い止めようと、いろいろな施策が行われています。やり始めてから結構たちます。直木賞でも一年前の第163回(令和2年/2020年上半期)から対策につぐ対策のなかで、今日7月14日、第165回(令和3年/2021年上半期)選考会の日を迎えました。今度もまた緊急事態宣言下だそうです。

 それでは、以前の第162回(令和1年/2019年下半期)までに比べて、受賞傾向にどんな違いが出てきたのだろう。と気にならないでもありません。だけど、そういう難しい分析は、誰かにお任せします。世のなかには、コジツケのうまい評論家やライターがたくさんいますので、誰かがスパッと胸のすくような記事を書いてくれるでしょう。

 ワタクシはコジツケが下手ですが、しかし今日の夕方、直木賞が決まったことはわかります。世間一般がどう受け止めたのかはわかりません。ただ、とりあえず直木賞っていうのは、候補作を読んでいる時間がボルテージのマックスだなあ、という実感は、前回までと何ら変わらないことはわかります。

 ということで、個人的な感謝の気持ちをこめて、直木賞候補になることをイヤがらずに受諾してくれた5人の方々に、今回もまた、忘れずに御礼を。どうもありがとうございました。

 一穂ミチさんが候補になってくれたおかげで、これまで「ケッ、ナオキショウって何だよ」と見向きもしなかった多くの人たちが、ふっと直木賞を振り返ってくれたのは間違いありません。そういう意味では、『スモールワールズ』の各編を書かせた編集者とか、予選を通過させた文春の人たちの手柄かもしれませんけど、今回の候補入りを経て、いつか直木賞が、一穂さんのすべてを抱きしめられるようなフトコロの深い賞になってくれればいいな、と将来への夢が広がりました。今後また直木賞が近づいてくることもあると思います。イヤがらずにお相手してくださると、うれしいです。

 ひとり、またひとりと絶え間なく現れる時代小説の新鋭たち。そのなかでも、砂原浩太朗さんの『高瀬庄左衛門御留書』には参りました。マジかよ。もうほとんど直木賞受賞作の貫禄じゃん……。上がいろいろとツカえているうえ、一作候補に挙がっただけじゃまだまだじゃな、という古い因習がはびこる賞なので、今日の結果は仕方のないところでしょう。砂原さんにはきっとリベンジマッチが組まれるでしょうから、そのときは、じわじわと選考委員の首を真綿でしめて完全勝利してください。

 リベンジマッチといえば、呉勝浩さんです。どう見てもひとつふたつ、文学賞がとれなかったところで、下を向くような人ではないと信じています。『おれたちの歌をうたえ』、今回のパンチも強烈でした。次は仕留めてくれるでしょう。直木賞はどうか知りませんが、ワタクシ個人的には、読み終わって頭がフラフラしています。呉さんのパンチで、快感に酔いしれています。

          ○

 「二作受賞」。この懐かしい響き。生きているあいだに、あと何度この幸福の呪文(?)を聞くことができるのでしょうか。とりあえず、久びさにこの言葉を聞いてから、興奮がさめません。

 佐藤究さんの『テスカトリポカ』を読んで、何じゃこりゃあ、むちゃくちゃ面白いじゃないか!……、と部屋のなかでひとしきり飛び跳ねたあと、うんまあ、山周賞はとれるだろうけど、直木賞はなあ、こういうの認めないからなあ、とうなだれてしまった自分の直木賞体質を、心から反省したいと思います。

 やるじゃないか、直木賞。佐藤さんは、何を言われなくてもこれからもガンガン攻めていかれるでしょうけど、直木賞も佐藤さんのあとに続いて、これからも直木賞体質の一般人に鞭打つような、攻めの姿勢を見せていってほしいです。

 何を言われなくても我が道を行く、といえば、澤田瞳子さんもたぶん、当落にかかわらず、コツコツと自分の未来を開拓していく方に違いありません。候補5度は、ちょっと多すぎたかなあ。でもまあ、ようやく直木賞受賞の枠をくぐり抜けられて、よかったです。

 主催者から電話が入って、それに受け答えする当の候補者は淡々としているのに、いっしょに待っているまわりのほうが冷静さを失う……という、よく聞く直木賞エピソードを、今回、間近で体験させてもらえて楽しかったです。またお会いしましょう。

          ○

 ということで、今回は久しぶりに自宅を離れて、出先で直木賞の発表を待っていたので、ニコ生の中継を堪能することができませんでした。いつものお三方に、大森さん・豊崎さんをまじえて、きっと盛り上がったでしょう。盛り上がったと信じています。

 今回の発表時刻は、以下のとおりでした。

  • ニコニコ生放送……芥:17時20分(前期比+16分) 直:17時32分(前期比+20分)

 受賞決定の瞬間は、もはや単なる通過点。候補作を全部読み終えた段階で、直木賞を楽しむピークはひとしきり越えているので、心は次回の直木賞、第166回(令和3年/2021年下半期)です。早く候補作、発表されないかなあ。と、毎日毎日確認しながら、混迷する社会のなかで、冴えない日常を過ごしていきたいと思います。ああ。早く新しい候補作、発表されないかなあ(←もう言ってる)。

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