第115回直木賞『凍える牙』、第116回『山妣』、第117回『女たちのジハード』『鉄道員』の単行本部数
第115回(平成8年/1996年・上半期)直木賞
第116回(平成8年/1996年・下半期)直木賞
第117回(平成9年/1997年・上半期)直木賞
※ちなみに……
第115回(平成8年/1996年・上半期)芥川賞
第116回(平成8年/1996年・下半期)芥川賞
第117回(平成9年/1997年・上半期)芥川賞
直木賞の部数をテーマにしてから、だいたい半年。いちおう折り返し地点なんですが、うーん、なかなか難しいです。
調べやすい1990年代あたりを、小出しに取り上げながら、そのあいだにもっと昔のハナシも調べていこう。と思っているんですけど、どうもうまく行きません。
歴代受賞作が190冊ちょっとあるうち、これまで触れることのできたのは、60冊弱。まだ3分の1も達成できていません。この分だと、だいたい1年が終わるときには、半分も超えていれば御の字、という感じです。
来週からは(かなり心が痛いですけど)「芥川賞だけを取り上げる週」っていうのも交えながら、少しずつ直木賞のほうも埋めていこうかと思っています。
それで今週は、前半のしめくくりとして、「直木賞のほうが芥川賞よりも売れるようになった」時期に当たる、第99回(昭和63年/1988年・上半期)からの分を並べてみました。
ちなみにこのあと、直木賞は、第115回乃南アサ『凍える牙』が17万部、第116回坂東眞砂子『山妣』が10万8,000部、とつづき、そして第117回には、直木賞史上最大の単行本売り上げを記録する浅田次郎『鉄道員』の155万部、篠田節子『女たちのジハード』の25万部、という流れになります。
……なります、といいますか、流れなんかないかもしれません。部数はけっこうデコボコしています。
受賞作の40%程度は10万部までいったかどうか疑わしく、地味めの作品であれば、そのぐらいが当たり前だった、というのはたしかだと思います。それでも過半数が10万部を超えてしまうのが「腐っても直木賞」と言われるゆえんかもしれませんが、20万部、30万部まで伸びる作品は、かなり限られています。
こういったなかで、いきなり100万部以上の世界にまで飛び出した『鉄道員』のスゴさが光りますけど、アレはほんとに特例中の特例。とうてい基準にはならないので、今回のグラフにも入れませんでした。『鉄道員』抜きでも、直木賞の部数はほんとうに順調で、そのあとも、ほとんど不調の影は見られません。
○
せっかくなので、同じ時期の、芥川賞受賞作のやつもつくってみました。
こちらは、『豚の報い』のあとに、第115回川上弘美『蛇を踏む』11万部、というのがあって、第116回柳美里『家族シネマ』27万部、辻仁成『海峡の光』22万部と、ひさしぶりに部数が盛り返したんですが、第117回目取真俊『水滴』8万部。と、また少し落ち込んだらしいです。
芥川賞のほうは、部数の推移も含めて、関心のある人が世の中にたくさんいますし、特段、ワタクシも思いつくものがありません。
常に矢オモテに立って、どんな話題でも受け止めてくれる芥川賞のおかげで、直木賞はのびのびとした(?)環境で生きてこられました。ほんとに芥川賞っていうのは、直木賞にとってありがたい存在だよなあ、とは思います。
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