田んぼはゴミ捨て場でもトイレでもありません。仮にそう見えたとしても。 第85回候補 山下惣一「減反神社」
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- 【歴史的重要度】…


3 - 【一般的無名度】…
1 - 【極私的推奨度】…



4
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第85回(昭和56年/1981年・上半期)候補作
山下惣一「減反神社」(昭和56年/1981年1月・家の光協会刊『減反神社』より)
もったいないですよ。この小説に「農業小説」と冠をかぶせてしまっては。
それでエンタメ小説が大好きな読者たちに、ああ、それなら僕らの範疇じゃないんだな、と判断されたかもしれないもんな。そのために数多くの潜在的読者を失ってしまっているとしたら、ほんともったいない。
あえて同志たちに告げます。農業の問題とか、都市と田舎の問題とか、そういうことに全然関心ありませんよね? だいじょうぶ。それでも、この小説は別の次元で十分におもしろく読めます。
と、山下惣一さんの圧倒的に独自路線をいくご活躍を前提にハナシをすすめちゃう前に。山下さんのことを少しご紹介します。
機関士の世界に清水寥人や向坂唯雄あり、職人の世界に小関智弘あり、では農業の世界とくれば? せーの、山下惣一あり、とみんなが声を合わせてハモれる存在です。
ご自身、中学卒業から農業に従事しつづけ、小説のみならずルポ、エッセイ、提言文など数多くこなし、講演やパネルディスカッションにかり出されること数知れず、しかもそれを継続すること30年以上。ミスター現代農民。現場に生きる農業従事者たちのスポークスマン。
その山下さんの処女短篇集が『減反神社』なわけですが、序文「山下惣一作品集に寄せて」を野坂昭如さんが書いていて、もちろん大絶賛の名調子です。
「この作品集に収められた中の、「減反神社」は、地上文学賞を受けている。山下の持ち味であるユーモラスな感覚が見事に生きていて、モーパッサン、チェーホフ、ゴーゴリに匹敵する傑作、当節、硬化し貧しくなりまさる日本文学が、稀有に産み出した、賜ものであろう。」
そして「あとがき」によれば、地上文学賞では選者のひとり新田次郎さんもやはり、強力に推奨したんだそうな。
同時に直木賞の候補になった「父の寧日」も、ワタクシの好きな作品ではあります。しかし「減反神社」のほうには、懸命に生きる一小市民にふりかかる災難を、とことん笑い飛ばすパワーが、さらにあふれているって意味で、小説好きのあなたにもぜひ読んでもらいたい一作なわけです。
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