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2008年7月15日 (火)

第139回直木賞(平成20年/2008年上半期)決定の夜に

 中村彰彦理論またまた的中。って言って通じる人は、残念ながらワタクシの友人にはいないんですが、今晩、第139回(平成20年/2008年・上半期)直木賞が決まりました。

 さて今回も、拙ブログではエントリー書かせてもらいます。受賞とはいかなかったけれど、楽しい読書体験をもたらしてくれた候補者の方々に感謝を込めまして。

 荻原浩さんがもし直木賞をこのままとれないで、数十年がたったら、きっと未来の読者の多くが、あれ、この人ってとってなかったっけ? と首をかしげることになると思います。個人的には過去3度の候補で、今回の『愛しの座敷わらし』がいちばん受け入れられそうに思いましたけども。今の選考委員のラインナップと、どうにも相性が悪いんですかねえ。まあ、たった数人の年長者に認められなくても、荻原さんにはン万人(?)のファンが付いていますから、今後、何の心配もないはずです。

 新野剛志さん。ミステリーファンの一人としては、もし今後、新野さんが直木賞の舞台に関わることがあるなら、ぜひミステリーで、と期待してしまいますが、それはともかく、新野さんなりの「格好いい小説」をとことん突き詰めていかれることを、祈っています。“こんなふうな作品書けば、直木賞とれますよ”みたいな、編集者のミスリードにひっかからないでくださいね。

 いつもいつも「直木賞」の枠組みのなかで醸し出す異質さが好きです、三崎亜記さん。五木寛之さんがいつも好んで使うセリフ、「この作家は直木賞をとらないところに栄光がある」は、確かに慰めでも何でもなく、三崎さんの作風にハマります。とれたら快挙、とれなくてもキラリ輝く、稀有な作品を、これからも引き続きお願いします。

 このあいだ候補になった『火天の城』が評判高すぎましたからね、山本兼一さんに期待する選考委員のハードルは、そうとう高いところに設定されているんでしょう。まあ、そのハードルを越そうが越すまいが、兼一さんの進んでいく足取りに、大した影響はないと信じます。“こんなふうな作品書けば、直木賞とれますよ”みたいな、編集者のミスリードにひっかからないでくださいね。って、くどいですか。

 「歴史好きというより戦国時代好き」とおっしゃる和田竜さんのことは、ときどき時代小説も読む読者の一人として、ものすごく応援したくなります。ツーカイな小説、大歓迎です。これから他の出版社からも次々お声がかかるでしょうけど、またいつか、小学館から小説出して、それで直木賞なんかとっちゃって、より一層の「ツーカイさ」を振りまいてください。

          ○

 井上荒野さんが直木賞をとって、何が嬉しいといって、やはり作家歴の長さの割りには、文学賞というスポットライトの当てられるタイミングがあまりなかった方に、ようやくその順番が回ったことです。長年ひとつの道で研鑽を積めば、注目が向くこともあるのだ、と他人事ながら何だかホッとする思いです。さあ、これで「フェミナ三人娘」の二人まで直木賞を受けて、残るは今後の木村英代さんの活躍に期待だあ。

 親サイト「直木賞のすべて」でも、ポロッとつぶやきましたけど、直木賞の流れから見れば女性上位時代いまだ崩れず。とはいえ、男性作家の小説が全然つまらないか、っていうと全然そんなことないのは、読書好きの同志なら、うなずいてくれますよね。そう考えると、直木賞の歴史的流れと、小説界全般の潮流とは、まったく別ものだし、過去の直木賞を語るときも、その前提だけは崩さずに考察していきたいなあ、と改めて思わされました。

 ええと、芥川賞については……ワタクシはよくわからないので、コメントしません。まあ、鬼のように蛇のように、わんさか突っ込まれるだろうなあ。

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2008年1月16日 (水)

第138回直木賞(平成19年/2007年下半期)決定の夜に

 あくまで無機質に、かつ冷静に情報を集めて掲載していくのが、サイト「直木賞のすべて」の務めなはずなのに、ついつい半年に一度、舞い上がってしまって、だらだら書いてしまう管理人を、どうぞお許しください。

 今日のお題はもちろん、今晩決まった第138回(平成19年/2007年・下半期)直木賞について。

 井上荒野さん。たしかに知名度の点では、今回の候補者の中できっと“逆”1、2位を争っていたと思いますが、その分、井上さんの作品にまだ出会っていない潜在的読者がたくさんいる、ってことですよね。未来は無辺に広がっています。死ぬまで(死んでからも)まとわりつく“○○さんの娘”のレッテルに負けず、どうか思いっきりエンタメ作家の道を歩んでください。

 黒川博行さん。この方の名前が、受賞者一覧に加われば、直木賞の性質のうちのひとつ、“直木賞って何でもアリなんだな”というワタクシの好きな“雑食性”が、ますます濃くなるはずだったのに……。ただただ残念です。直木賞はまだまだ、黒川さんレベルの小説に追いつけていないってことでしょう。

 古処誠二さん。受賞ならずとも、3度も候補に挙がったことで、信じた道を突き進めば、いつか誰かに認められる(こともある)、と教訓を学んだような気がします。そして、そういう事例を目の当たりにして、今度もチロリと勇気をもらいました。ありがとうございます。

 うーん。佐々木譲さんには甚だ迷惑なおハナシだと思いますけど、ここで佐々木さんを選ばなかったことは、直木賞の選考の歴史に、たしかに一つの足跡が残されました。ベテラン作家の作品を、臆面もなく落とす、という足跡が。第100回(昭和63年/1988年・下半期)のときの選考と同様、今回の選考も、きっと何十年後かに、正しかったか間違っていたかが判明するでしょうから、それまで生きていたいな。

 馳星周さん。もちろん、『不夜城』の時点で、今の馳さんの活躍を見通せなかった選考委員の誰それの責任ではあるのですが、今はそれを言いますまい。今後も馳さんの世界をどんどん拡大させていってくださることを、期待しています。

          ○

 桜庭一樹さんの生み出してきた世界の、ほんの一端しかワタクシは触れていませんが、一つの場所にとどまらず、きっとさまざまな冒険を小説に託してくださる方だと、勝手にお見受けしております。受賞されたことで、きっとまわりの編集者から妙な誘導をされることもなくなり、さらに、さらに、新たな試みがしやすくなるんじゃないかな、などと早くも期待してしまうのです。わがままな読者で、ほんとすみません。

 いちおう、直木賞オタクとしては、直木賞史のなかでの視点も、ちらっと持たざるを得ないんですけど、不死鳥のごとき『別冊文春』伝説よふたたび(余聞と余分エントリー『文蔵』を参照のこと)、ってところでしょうか。

 ともかく、大森望さん、豊崎由美さん、久々の(はじめての?)的中でおめでとうございます。これで“万年はずし屋”の汚名をそそぐことができて、ほんとによかった(って、ちょっとイヤミ)。

 あ、それと新潮社、講談社の関係者のみなさま。これで桜庭一樹さんを、山周賞吉川新人賞の候補にするのはやめよう、などとは絶対に思わないでください、と心からお願いしておきます。“直木賞が新人賞の最高峰”なんちゅう戯れ言を、いったいいつ誰が言い出したのか、寡聞にして知りませんけど、あなた方がそんな妄言に影響される必要など、これっぽっちもありません。“直木賞作家? なんぼのもんじゃい”ぐらいの気概で、ぜひ、両賞を運営していただきたいと、一傍観者からのお願いです。

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2007年7月17日 (火)

第137回直木賞(平成19年/2007年上半期)決定の夜に

 さすがにブログっぽいことし始めたからには、こういう日には“週イチ”の掟を破って、何か書いてもいいのじゃないか、と自分自身に言い聞かせ、今晩決まった第137回(平成19年/2007年上半期)直木賞のこととか、書き残しておきたいと思います。

 まずは、今回受賞に至らなかった候補のことについて。

 桜庭一樹さん、あなたの勇姿は常にン十万の熱きラノベラーたちが、温かく見守っています。『赤朽葉家の伝説』での大ブレイクは、実にお見事でした! 遅ればせながらワタクシも、桜庭さんの作品に出逢えて幸せです。

 畠中恵さん。時代小説だけの枠におさまるような方ではないと、勝手にお見受けしていますが、畠中さんでしか醸し出せない新たな時代小説の世界をぜひ切り拓いていってください。

 万城目学さんには、本屋大賞をはじめ他のいろんな文学賞よりも先に、直木賞をもらっていただきたいんだけどなあ。これでそのチャンスも遠のいてしまって、『鹿男あをによし』ファンの一人としては残念ですが、“いずれ”直木賞とると信じています。

 うちの親サイトでやっている企画「大衆選考会」で、『絵子』の頃からお名前が挙がっていた三田完さんが、今回、本物の直木賞の候補になられて、なんだか我がことのように嬉しい管理人です。『俳風三麗花』みたいな楽しい小説、また読んでみたいです。

 まだまだこの先、いくらでも受賞のチャンスのありそうな、森見登美彦さん、これからも『夜は短し歩けよ乙女』をしのぐような、ハチャメチャに面白い小説を生み出していってくださることを、読者の一人として待っています。

 そして、北村薫さん。発表からまだ数時間しかたっていないのに、さまざまなブログ、掲示板などで、早くもファンの方々がたくさん書き込みしているこの思い、どうぞご覧になってください。次期以降、また候補に挙げられることがあるかないかは、わかりませんが、勝手にワタクシは、北村さんは“直木賞逃した実力派人気エンターテインメント作家”のお一人だと確信しています。

          ○

 松井今朝子さんは、今回が3度目の候補。ワタクシはその3作しか拝読したことはないのですが、選評で「歌舞伎に詳しすぎて、かえって、そのことが小説を書くうえでの邪魔になっている」みたいなことを書かれているのを読むたび、そうかなあ?と思っていました。今後いろいろなジャンルを書いていかれる中でも、ワタクシみたいな歌舞伎オンチな者にも、その魅力がわかるような、ばりばりの歌舞伎小説を、また読ませてください。

 ひそかにワタクシが注目しているのが、親サイトの「新情報」にも書いたんですけど、松井さんのホームページで、候補発表以後、ご本人が直木賞のことに一切触れていないこと(7月10日に新聞記者の取材を受けたことは書かれていましたが、直木賞の取材だったとは書いていないのが、また心憎いばかりです)。明日以降、松井さんがどんなふうに直木賞のことを書かれるのでしょうか。それとも、いつもどおり、晩ごはんのことや、日記や、時事ニュースのことのみで、貫かれるのでしょうか。

 コメント欄に、読者の方からのコメントがあるから、それにはご対応なさるかとも思えますし。注目しています。

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