カテゴリー「まもなく選考会」の12件の記事

2009年7月15日 (水)

まもなく。

 いやあ、楽しみだなあ。

 今日(7月15日)の17:00から、第141回直木賞の選考会。

 以下、高橋一清さん(元・文藝春秋編集者、元・日本文学振興会理事長)の著書『編集者魂』(平成20年/2008年12月・青志社刊)からの引用です。

「選考会での司会進行役は、芥川賞は「文藝春秋」、直木賞は「オール讀物」の編集長がつとめる。初めに「予選通過作を候補作として討議していただくことに異議はないか」を確かめ、同意を得て選考に入る。ここで、初めて「候補作」というのである。」

 そうだった。まだ、『鷺と雪』やら『プリンセス・トヨトミ』やらは、候補作と呼んではいけないのでしたね。

「最初はそれぞれの作品に○△×で印象点をうかがう。欠席の委員の書面回答も、この中に入れる。これを○を1点、△を0.5点、×を0として数値化する。(引用者中略)

 次に数値の低い方から、委員が感想を述べる。それぞれの作品に対しての率直な意見は、筆者が聞いていたら卒倒してしまうほど、厳しい内容である。選考会が非公開の理由がここにある。公開であればここまで自由に本音を口にするわけにいかない。そうすれば審議も中途半端なものになってしまうだろう。」

 十分、審議しちゃってください。数時間後をたのしみに待っています。

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2009年7月12日 (日)

第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、歩んだ足跡を数えてみる。

 刻一刻と、第141回(平成21年/2009年・上半期)の選考会の日が近づいてきました。いつもこの時期になると、ワタクシはうずうずと分析ダマシイがうずいてきます。

 たとえば「KKさんはもう何作も著作物があって、どう考えてもとれるにちがいない」とか、「MNさんはまだ作家としてはデビューしたてだから、今回は顔みせ程度で終わるだろう」とか、ふっと思いつく自分の感覚に、自信がなくなってくるのです。

 だって、そんなの、印象だけじゃなかろうか。じっさいに過去のデータを計測して並べてみてみないと、どうにも寝つきが悪い。

 直木賞は、ほかの並みいる文学賞とちがって「新人からベテランまで」幅広く対象にすることに生き甲斐を見出している賞です(ん?)。でも、どれくらい幅広いのか、やっぱ視覚的に表現されてないと、わからないですよね。

 ベテラン度をはかるためには、デビューしてからの年数で見たり、直木賞候補に挙がった回数を数えてみたり(これはちょっと違うか)、いろいろ観点はありそうです。そういったなかで今回は、書店員さん・図書館員さん必見のデータを使うことにしました。

 作家の足跡=出版した小説本の数、です。

 その数をマーク化して並べてみると……、うわ、一目瞭然。

北村薫51冊) Book_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_greenBook_greenBook_greenBook_greenBook_greenBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_gray

貫井徳郎44冊) Book_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_greenBook_greenBook_greenBook_greenBook_greenBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_grayBook_gray

道尾秀介13冊) Book_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_greenBook_greenBook_grayBook_gray

葉室麟6冊) Book_redBook_redBook_redBook_redBook_redBook_gray

万城目学4冊) Book_redBook_redBook_redBook_gray

西川美和2冊) Book_redBook_gray

 ……って全然、瞭然としてないじゃんか、ですと? ほんと、ごもっとも。

 そうか、第141回の分だけしか見てないからダメなんだ。過去までひもといてみれば視界は開けてくるんじゃないか。と気づいてしまったあなた。直木賞ワールドの魔の領域に、足を踏み込んでしまいましたな。

 で、魔界の探索に出かけるまえに、少々注釈が必要です。この場合の「冊数」とは、何をどうやって数えた数なのか。次のルールに基づいています。なので、数え方によっては異なった結果が出るかもしれません。

※上半期の候補ならその年の6月まで、下半期の候補ならその年の12月までに、出版された小説の数です。ただし、そのとき候補になった作品自体は除きます。

※対象は原則的に単著のみです。

※できるかぎり「小説」だけを数えます。エッセイ、マンガ、研究書の類は省きます。

※別名義で発表した小説は省きます。

※上・下巻など物理的に複数の本の場合、同時期に刊行されているものは「1冊」と数えます。

Book_red…新書版・文庫版以外の本 Book_green…新書版(ノベルスなど) Book_gray…文庫版

 さてさて、魔界の奥底は目のとどかないほど深く、さかのぼれば70数年前までさかのぼれちゃいます。危険です。とりあえずは、最近100人の候補作家の分だけをチェックすることにしましょう。最新の候補作家、西川美和さんからたどりたどって100人前の候補は、19年前、第104回(平成2年/1990年・下半期)ではじめて候補にあがった東郷隆さんです。

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2009年7月 5日 (日)

第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、本人たちの声に耳を傾ける。

 今度、第141回(平成21年/2009年・上半期)には6人の方々が候補に挙がりました。その名前をみて、「なあんだ。また、みんな知ってる人ばかりだ。つまんないの」と、最近の直木賞の“有名作家主義”にげんなりした方もいるでしょう。そんな方には、すみません、今日のエントリーはお役に立てません。

 「がーん。ほとんど読んだことのない作家ばかりだ」とか、「だ~れも知りません」とか、つぶやいている方。さあ、顔をあげてください。あなたのような人のために、直木賞はあるのですから。

 かくいうワタクシも、こんなブログや、親サイトをやっていますけどね、新しい作品・新しい作家にはトンとうといわけでして、新しい候補作家たちについて知っていることなど、ほとんどありません。選考会の7月15日(水)までまだあと2週間弱あります。その日を楽しく迎えられるように、ちょっとずつ知識を深めていきたいところです。

 それで今日は、候補作家ご本人たちの声に耳を傾けたいと思います。

 だって選考会の日がくれば、先輩作家たちが、ああだこうだと、6つの候補作を丁寧に切り刻んで、それぞれ独自の評価をくだしちゃいます。たぶん、ワタクシのように、その作品を直木賞を通して知った人間にとっては、いやがおうにも、それらの選考委員の言葉に振り回されてしまいます。が、待ってください。それじゃあまりにも不公平です。一方的すぎます。

 「でもさ。作者本人の声を聞こうだなんて邪道だよ。作品は、発表された瞬間に作者の手を離れるんだから、あとは読み手が判断すればいい」。ってこれ、まっとうな考え方です。

 でもね、直木賞(とか文学賞)を、まっとうな尺度ではかってどうするんですか。まさかあなたは直木賞をまっとうなものだと信じているのですか。この世に読者は何十万人も何百万人もいるのに、そのなかのたった数人が、たった数時間の会議でくだす判断を、特別に価値あるものとして囃し立てて、その結果にワーワーと騒ぐ。ね。全然まっとうじゃないですよね。くだらないですよね。馬鹿馬鹿しいですよね。……ワタクシはこの、くだらない感じが大好きです。むちゃくちゃ楽しいと感じます。

 やばい。ハナシがズレてきた。

 要は、構図として候補作家は自分の作品を選考委員にどう切り刻まれようと耐えるしかありません。なので今のうちに、候補の方々の言い分も聞いておきたいな、ってことです。この6人の作家たちは、今回の作品をどんな思いで、どんな気持ちをこめて書いたのかを知っておこう、ってことです。

『鷺と雪』……北村薫さんいわく

「とにかく平和があり、明日の命を心配する生活ではない、という点では日本は世界でも恵まれた状況でしょう。この現状と、格差社会どころか信じられないような貧富の差があった昭和初期において、富裕階級という安定した社会に居る主人公たちとが重なるのではないかと」(『別冊文藝春秋』平成21年/2009年5月号「book Trek」より)

『きのうの神さま』……西川美和さんいわく

「死にたがっている長寿の人の話を聞くと、ざわざわするんです。毎日が退屈で『(生きることに)もう飽きちゃった』とあっけらかんと言ったり。そのタフさや俗っぽさも含めて、人間は面白い。生と死のグロテスクさ、えぐみを書きたかったのかなと思います」(『静岡新聞』平成21年/2009年6月29日「映画監督・西川美和さん―生と死のえぐみ書きたい」より)

『乱反射』……貫井徳郎さんいわく

「大事なのは、自分の些細な行動が他人に大きな影響を与えているかもしれないという想像力。この本を多くの人に読んでもらって、頭の片隅で『もしかしたら』と考えてほしいんです。小説が世の中に対して影響をもつなんて考えはおこがましいですが、可能性がゼロじゃないなら書く意味があると信じて、祈るような気持ちで原稿に向かっていました」(『オール讀物』平成21年/2009年5月号「ブックトーク」より)

『秋月記』……葉室麟さんいわく

「勝てないとわかっていても、戦わねばならない時があります。秋月藩の男たちも負けを覚悟して戦い、最後は敗れます。しかし、負けて終わりなのではなく、その先に何かがあった。負けてもなお心が折れない男たちを書くには、架空の小説より、史実に基づくほうがリアリティーが出ると考えました」(『毎日新聞』平成21年/2009年2月22日「今週の本棚・本と人」より)

『プリンセス・トヨトミ』……万城目学さんいわく

「『鹿男あをによし』(幻冬舎)の中で鹿に「人間は文字で書かないとなんでもかんでも忘れてしまう」ということを言わせていますが、鹿は人間が文字に残さないがため忘れてしまったことを代々伝える生き物として登場させているんです。今度の作品では逆に、人間自身が文字にするのを自ら禁止して、人と人の間で口承で伝え続けていたらどうだろうと思いました。」(『本の話』平成21年/2009年3月号「著者インタビュー もう一つの大阪が明らかに」より)

『鬼の跫音』……道尾秀介さんいわく

「昔、都筑(引用者注:都筑道夫)さんの『怪奇小説という題名の怪奇小説』を読んだときに『ここに混沌がいた!』と思ったんですね。エッセイだか小説だかわからない、SFでもないし、何だかわけがわからないけど一生忘れない、すごくインパクトのある本で、こういう混沌的なというか、目鼻をつけたら死んでしまうような話を書くのが夢だったんです。今回の短編集で、少しはそれが出来たかなという気がしています」(『ダ・ヴィンチ』平成21年/2009年3月号「こんげつのブックマークEX」より)

 この6人のうち5人の方は、すでに直木賞候補を経験ずみです。選考委員から何だかんだと難癖つけられたことがあります。直木賞オタクとしては、やはりそういった過去の「一方的通告」と対比させながら、候補の方々の発言を読んで(深読みして)、どうにも胸がわくわくしてきちゃいます。

 ほら、こんなふうに。

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2009年1月11日 (日)

第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)候補のことをもっと知るために、その重みを知る。

 まず、順位を発表いたします。

 さて、第140回(平成20年/2008年・下半期)の直木賞選考会を今週木曜日1月15日に控えて、今日のエントリーの主役は、これら最新の候補作6つについてです。

 たとえば発表された候補作を事前にすべて読んで、自分なりの予想を立てつつ、その日を迎える。小説好きにはたまらない至福の時間ですよね。

 いや、でも5つも6つも小説を読むなんて、時間の無駄だ。まして、どこまで楽しい小説を読み解く力があるかよくわからない50代、60代、70代のおじさんおばさんたちが選んだ受賞作だけを読む、なんてのも不安でしょうがない。……そうそう、人生は貴重です。そして小説選びは慎重にいきたいところです。

 前置きが長くなりました。あなたは次に読む小説をどうやって決めていますか。ネットに出ている紹介文ですか。本に巻いてあるオビですか。装丁のパッと見の雰囲気ですか。パラパラとめくってみて、どれだけ活字が詰まっているか(いや、逆にどれだけ余白が多いか)ですか。

 今回の、うちのブログの視点は「読みごたえ」です。

 ……間違えました。もとい。「持ちごたえ」です。重さです。重量です。

 一篇の小説を読む、その行為のなかでもかなり大きな比率を持つ(はずの)、手にとったときに感じる重み。読み終わったとき、重ければ重いほど、ああ、これほどの重作を自分は読破したのだなあ、と満足感もひとしおです(ってほんとか)。

 過去の直木賞は、どれほど重みのある小説が受賞してきたのか、気になったので調べてみました。そしてせっかくなので、今回の6つの候補作も同じ土俵で量ってみようじゃないかって寸法です。

 なにせ、ほら、今回は天童荒太さんが候補に挙がっていますからね。またの名を「シャジ(謝辞)スト」、またの名を「五分冊の貴公子」。第121回(平成11年/1999年・上半期)では『永遠の仔』が上巻510グラム、下巻585グラム、計1,095グラムとあまりに重くて(違う違う、あまりに長くて)選考会で不評を買ったあの天童さんが。

 それでは、素晴らしき重さの世界をひもとく前に、今回の候補作たちのズッシリ感を確認しておきましょう。はかりかたは、実際に選考委員のみなさんが手にとる状況を想定させてもらいました。つまり、第42回(昭和34年/1959年・下半期)~第132回(平成16年/2004年・下半期)の長期間にわたって、賞の運営にたずさわった元・文藝春秋編集者、高橋一清さんの証言を参考にしました。

(引用者注:予選候補に選ばれた作家たちから)応諾を得ると、文藝誌や同人誌はコピーにかけ、活字の大きさをほぼ一致させた、簡単なとじ本を作る。極力同一条件で審査が受けられるようにとの配慮からである。直木賞の単行本は帯もカバーも付けず本体のみを(引用者注:選考委員に)届ける。それらがせっかくの作品に禍を招くこともあるのだ。」(平成20年/2008年12月・青志社刊『編集者魂』所収「「芥川賞・直木賞」物語」より)

 ってことで量るのは「本体のみ」の重さです。重い順に並べると、こういう順番になるわけです。

  • 530グラム 恩田陸『きのうの世界』
  • 476グラム 天童荒太『悼む人』
  • 472グラム 山本兼一『利休にたずねよ』
  • 412グラム 道尾秀介『カラスの親指』
  • 376グラム 北重人『汐のなごり』
  • 354グラム 葉室麟『いのちなりけり』

 1位から6位までたった約180グラムしか開きがないじゃんか、と見えるかもしれません。しかしこのわずかな重量差が、直木賞の場ではさまざまなドラマを生み出してきました。

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2008年7月13日 (日)

第139回直木賞(平成20年/2008年上半期)候補のことをあと一歩知るために、「足もと」を見てみる

 Ayalistさん、いつもうちのサイトのことに触れてくださって、ありがとうございます。「仕事が丁寧で深くて」のお言葉、まるまるお返ししたくなるくらい、「綾辻行人データベースAyalist」の充実ぶりには、つねづね頭が下がる思いでいます。

 と、唐突にお礼の言葉から始めましたが、そうですか、いよいよあさってですか。7月15日(火)は第139回(平成20年/2008年・上半期)直木賞の選考会の日です。

 ワタクシ、記憶をさかのぼってみて、どんな候補ラインナップの回でも、直木賞を楽しめなかったときが過去1度もなかったものですから、「今回はまるで盛り上がらない」ふうな文言を目にするたび、キョトンとしてしまうのですが、そうです、どうせこちとら病気ですよ。ほっといてください。

 ほっとくわけにはいかないのが、直木賞のハカリにかけられる6つの候補作です。いや、その逆で、これら1つ1つの作品のハカリの上に、「直木賞」っていう取り扱い注意の危険物が、6通りの姿で乗せられるわけでもあります。まあ、「直木賞」なんて、ずーっと一定の安定した物差しを内蔵しているわけじゃないんですから、どっちかっていうと、「直木賞」=「ハカリにかけられる側」、と見立てたほうがお似合いです。直木賞よ、各作品から選んでもらうのは君のほうなんだぞ。もっとしゃっきりしなさい。

 先週の拙ブログでは1週間、6人の候補作家の登場当時の事柄ばかりツツきました。まあ、どんな評価を受けてデビューしたかは、ちょっとはわかった、けど今回の候補作がどんな作品なのか何も取り上げてないじゃん、とふくれてしまったあなた。昔のことを振り返っても仕方あるまい、今のハナシをしてくれよ、と現実を直視したいあなた。

 わかりました。6つの候補作について取り上げましょう。

 ただ、ワタクシは、どの小説も面白かったですよ、だからぜひとも読んでみて、ぐらいのどーにもならない言葉しか吐けません。かといって、ヘタに誰かの論評とかを引用するのも公平性に欠きますし。

 ですので、ここは一気に語っていただきましょう。6人の候補者ご当人たちに。

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2008年7月12日 (土)

第139回候補・三崎亜記 3年9ヵ月前に第17回小説すばる新人賞受賞 「新人賞の選考会で、「この作者は天才かもしれない」という発言を耳にしたのは、私は今回が初めての経験でありました」

 デビュー作にしてベストセラー、のハナシだったら三崎亜記さんのも負けちゃいません。記憶に新しすぎて、振り返るのも憚れますけど、『となり町戦争』が発売から1年4ヵ月後に映画化されたときのニュースソースでは「16万部」の文字が躍っています。

 この小説を小説すばる新人賞に選んだのは5人の選考委員でした。そのうちの4人が、10ヵ月後にもう一度、同じ作品を直木賞で選考することになって、褒めてるのか不安がってるのか、よくわからない選評を書いてしまった、っていうのはすでにワタクシたちが目にした過去です。

 今日のエントリー・タイトルには、5人のうち直木賞委員ではなかった唯一の人、宮部みゆきさんの言葉を使わせてもらいました。

「蛇足ながら、新人賞の選考会で、「この作者は天才かもしれない」という発言を耳にしたのは、私は今回が初めての経験でありました。」

 宮部さん自身が「天才かも」と言ったわけじゃない、ってのがミソでして、宮部さんは悩みに悩んで、結局はこの作品を“推した”わけではないことが、選評に滲んでいます。

「『となり町戦争』という課題作を与えられ、解答用紙を手渡され、何日も悩んだ挙句、私は設問のどれひとつに対してもちゃんとした解答を書くことができませんでした。」(宮部みゆき「解答用紙の裏側に」より)

 この応募作、かなりの“難問”だったようで、大なり小なり選考委員のみなさんに、「これって才能なのか。それとも、たまたま書けちゃっただけなのか」と思わせてしまったのは確からしいです。ただひとり、自信満々の賛辞を塗り重ねたアノ委員を除いて。

■選考委員

■応募総数

  • 1,176篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成16年/2004年9月22日

■最終候補 全3篇(…◎が受賞作)

  • 御清 街(受賞後・三崎亜記に改名)「となり町戦争」◎
  • 弘吉青雨「味わう傷」
  • 浅野朱音「オリエンテーリング!」

■賞金

  • 100万円(正賞は記念品)

■発表誌

  • 『小説すばる』平成16年/2004年12月号・集英社刊

 何の疑いも差し挟まず、とにかく褒め言葉を羅列した、といえば、もちろん井上ひさしさんです。他の委員が「才能」の面にこだわって、ああでもないこうでもない、と悩んでいるらしいのに、ひさしさんだけは、そんな難しいハナシをすっ飛ばして、とにかく作品の出来の高さだけをベッタベタに評価しました。

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2008年7月11日 (金)

第139回候補・和田竜 4年7ヵ月前に第29回城戸賞受賞 「同題材の先行する小説も何作かあり議論となりましたが、(略)圧倒的な高評価を得ました」

 20万部突破だそうで、おめでとうございます。返品率が30%として(甘いですか?)実質14万部。もちろんそれだけで、和田竜お披露目の儀としては、きっと想像以上の大成功ですよね。それに比べたら、直木賞候補のハナシなんて、蛇足も蛇足、ささいなことに過ぎません。

 これを「まったく新しい時代小説だ」なんて言ったら、きっと何十年も時代小説を愛好している方々に「どこが?」と怒られるはずなので、ワタクシはぐっと口をつぐみます。ただ、ワタクシもやはり、“ふだん時代小説って読まないんだよなあ”って人がいたら、宮地佐一郎じゃなくてコッチを勧めますよ。もちろん。

 『のぼうの城』の原型は、和田さんが4年前にシナリオライターの公募賞・城戸賞を受賞した「忍ぶの城」。ってことなので、直木賞オタクサイトとしてはかなり遠出の旅行となりますが、今日は城戸賞のことです。「城戸」とは誰ぞや、みたいなことは、wikipediaとか、日本映画製作者連盟のサイトとかに、綿々と語られておりますので、どうぞそちらを。

 景山民夫青島幸男の登場を待つまでもなく、そりゃあ、直木賞はずーっと昔から、大昔から、映像業界からの生き血を吸って(?)棲息してきた生きものなのです。そらそうだ、なんたって「直木三十五」さんの賞だもの、当たり前ですか。

 どっちかって言うと、城戸賞→直木賞のベクトルが、今までなかったのがおかしいくらいです。

■選考委員

  • 松岡功・和泉吉秋・本木克英・ほか

■応募総数

  • 230篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成15年/2003年11月?

■最終候補 全10篇(…◎が受賞作)

  • 和田竜「忍ぶの城」◎
  • 秋満隆生「祭囃子が聞こえる」(準入選)
  • 谷慶子「タイブレーカー」(準入選)
  • ほか7篇

■発表誌(入選作・入選の言葉・総評の掲載のみ)

  • 『キネマ旬報』平成16年/2004年1月下旬号・1397号(通巻2211号)・キネマ旬報社刊

 和田さんはこの前年にも、時代劇シナリオ「小太郎の左腕」で城戸賞の候補に残っていまして、2年連続の最終候補。その筆力は群をぬいて圧倒的で、まったく文句なく受賞が決まったようです。いや、ちょっとだけ懸念の声が挙がったらしいですが。

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2008年7月10日 (木)

第139回候補・山本兼一 4年2ヵ月前に第11回松本清張賞受賞 「登場する“職人”が皆、どこか同じ鋳型で作られたかのような匂いがするのが、今後の課題かもしれない」

 いかんなあ、いかんいかん。ワタクシは文春の手先じゃないんだぞ、たしかに山本兼一さんは清張賞作家ではありますけど、さらに元をたどれば『小説non』出身なんだから、そっちに注目しなきゃ。

 昔の『小説non』誌は、そんじょそこいらの図書館には置いてありません。ちょっと調べようと思うと、明らかに他社の読み物系小説誌にくらべて差別を受けていることがわかるんですが、なぜか東京では目黒区立守屋図書館にどっさり残っています。同誌の「短編時代小説賞」は、創刊150号のときだけ単発で催されたもののようです。……かと思いきや不定期に(定期的に?)行われているらしくて、ウィキペディアンのどなたか、ぜひ調査をお願いしますね。

 いちおう、山本兼一さんが佳作となったときの同賞のことは、調べておきました。かなり穴だらけですが。

■選考委員

■応募総数

■最終選考委員会開催日

  • 平成11年/1999年4月~7月?

■最終候補 全7篇(…◎が受賞作)

  • 来宮 隆「月冴え」◎
  • 山本兼一「弾正の鷹」(佳作)
  • 坂下真之輔「迷い子石」
  • 藤川未央「恩誼の器」
  • 葛飾千子「埋火」
  • 伊藤尚彌「夜の匂い」
  • 王城寺竜太郎「破談お受け候のち」

■賞金

  • 100万円、佳作50万円

■発表誌

  • 『小説non』平成11年/1999年9月号・祥伝社刊(佳作の掲載は平成11年/1999年10月号)

 残念ながら、と言いますか、当然ながら受賞した来宮さんの「受賞のことば」は載っているんですが、佳作の兼一さんは、ことば無しです。選評を書く笹沢さんも、「弾正の鷹」については、そんなに多くの文量を割いていません。

「候補作は七編とも、水準が高かった。着想と文章は、それぞれプロ並みといってもいいだろう。しかし、これは仕方がないことだが、どこかにものたりないところがある。それを捜し出すという消去法によって、入選作を決めることにした。」

 とのことで、一つ一つ、候補作の欠点を挙げていき、最後にチロリと佳作と入選作のことに触れる、という選評なのです。

「この結果、劇画調ではあるが妙に新鮮な派手さがあり、奇抜な信長暗殺計画というアイデア、読者を引き込む迫力も加えて山本兼一氏の『弾正の鷹』を佳作に推した。」

 これだけじゃあ、さすがにこっちもエントリー一回分持たんぞ。

 しかたない。やっぱり文春の軍門にくだって松本清張賞のこと、取り上げることにしますか。

■選考委員

■応募総数

  • 892篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成16年/2004年4月20日

■最終候補 全4篇(…◎が受賞作)

  • 北重人「天明、彦十店始末」
  • 田村正之「夏の光」
  • 樋上拓郎「そしてクジラは眠る」
  • 山本兼一「火天の城」◎

■賞金

  • 500万円(正賞は時計)

■発表誌

  • 『文藝春秋』平成16年/2004年7月号・文藝春秋刊

 松本清張賞ほど有名な賞だもの、説明は省略します。

 と油断していたら、ガッツーンとやられちゃいました。そうなんだ、清張賞ってそこまで有名じゃなかったんですね。悄然。

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2008年7月 9日 (水)

第139回候補・新野剛志 9年0ヵ月前に第45回江戸川乱歩賞受賞 「筆に勢いがついた時が愉しみである」

 伊坂ショックが駆け巡るなか、こんなに地味に淡々と候補者・候補作のことを紹介してる場合なのかいな、と思いつつ、今日は新野剛志さんの番です。

 6人の第139回候補者のうち、唯一この方だけは、デビュー時の受賞のことばや選評を、インターネットで無料で自由に読むことができます(→日本推理作家協会のサイトですね)。なので、ここで取り上げる意義も大してありません。だけど、フェミナ賞に触れたくせに乱歩賞を無視するのは、どうも寝つきが悪いよなあ。なにせ乱歩賞だもんなあ。

 乱歩賞作家にして直木賞の候補者は、新野さんで15人目です。いや、“まず直木賞の候補になって、そのあとで乱歩賞をとる”なんていうウルトラD技を決めてくれた多岐川恭藤本泉のご両人は別格でしょうから、それを除いて13人目。うち5人が見事、直木賞を授けられました。

 たとえば先輩・東野圭吾さんが、直木賞史のなかで大変珍しい存在であるのは、6度も候補に挙げられたことじゃなくて、乱歩賞でのデビューから13年も経ってはじめて候補に選ばれた、その長さにあります。乱歩賞→直木賞初候補までの過程は、おおむね、「すぐ」か「7~8年かかって」か、2つのパターンに分かれますが(例外は4年の桐野夏生と、13年の東野圭吾)、今回の新野さんは後者のパターンです。

 そんな“苦労組”に属する先輩がたには、真保裕一さんや池井戸潤さんがいます。ワタクシ個人的には、かなりお二人の受賞を期待していたんですけど、直木賞委員のお口には合わなかったようで。残念。

 ならば、『あぽやん』はどうだ。これなら、ミステリー嫌いの委員の方でも、おいしく召し上がっていただけそうですけど。

 そもそも、この新野さんがミステリーの新人賞から出てきたってことが、今さらながら振り返ってみると、ちょっと場違いだった気もします。

■選考委員

■応募総数

  • 289篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成11年/1999年6月22日

■最終候補 全5篇(…◎が受賞作)

  • 新野剛志「マルクスの恋人」(受賞後「八月のマルクス」に改題)◎
  • 木村千歌「そして、僕はいなくなった。」
  • 首藤瓜於「うじ虫の災厄」
  • 奈津慎吾「落日の使徒」
  • 堂場瞬一「ダブル・トラブル」

■賞金

  • 1,000万円(正賞はシャーロック・ホームズ像)

■発表誌

  • 『小説現代』平成11年/1999年8月号・講談社刊

 プロの作家も普通に参戦する乱歩賞ですから、公募賞とはいえ、レベルはおおむね高いはずですが、この回の乱歩賞はどうもあんまり芳しい出来じゃなかった模様です。……ってワタクシがそう判断したわけじゃないですよ。選考委員の方々、口を揃えておっしゃっています。

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2008年7月 8日 (火)

第139回候補・荻原浩 10年9ヵ月前に第10回小説すばる新人賞受賞 「この書き手はどんな応用篇もこなしてゆける腕の持ち主ではないか」

 井上荒野を語るときに江國香織は欠かせません。であれば、荻原浩のかたわらには断然、直木賞受賞者・熊谷達也の存在があります。あの方が受賞できたのなら、こちらの方が受賞するのに何の不自然さもないですもんねえ。

 10年9ヵ月前、コピーライターだった荻原さんは初めて小説を書きまして、熊谷さんとともに小説すばる新人賞を受けました。それからの両者の活躍は、同賞出身作家のなかでも、そうとう目覚ましいものがあります。

 平成9年/1997年当時のことを、ちょっと思い返してみましょう。この年の夏には、はじめて同賞出身の作家・篠田節子が直木賞を受賞して、“小すば”の名がより以上に高まりました。その興奮(?)さめやらぬうちに、こんな2人の実力派受賞者がドーンドーンと生まれて、まさに集英社文芸部門が乗りに乗っている頃だったんですなあ。おお、なつかしい。『鉄道員』なんてベストセラーも生まれちゃいましたしねえ。

 で、このときの小説すばる新人賞は、3つの最終候補が争いました。

■選考委員

■応募総数

  • 1,231篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成9年/1997年9月24日

■最終候補 全3篇(…◎が受賞作)

  • 荻原浩「牛穴村 新発売キャンペーン」(受賞後「オロロ畑でつかまえて」に改題)◎
  • 熊谷達也「ウエンカムイの爪」◎
  • 永嶋恵美「詐話師たちの好日」

■賞金

  • 100万円(正賞は記念品)

■発表誌

  • 『小説すばる』平成9年/1997年12月号・集英社刊

 時の集英社の磁力のおかげか、集まった最終候補は、強豪ぞろい。ほら、2人の紳士にわずかながら及ばなかったけど、永嶋恵美さんって、今や作家としてご活躍中の永嶋恵美さんっぽいです。今度荻原さんが直木賞とったあとは、次は永嶋さんが直木賞の舞台に登場してくれることに期待が高まります。

 って気が早すぎるぞ、もう。

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2008年7月 7日 (月)

第139回候補・井上荒野 19年5ヵ月前に第1回フェミナ賞受賞 「ちょっと純文学臭が強すぎるが、女主人公のまなざしが魅力的」

 『切羽へ』で候補に挙がった井上荒野さんの、華々しい登場は19年5ヵ月前、第1回フェミナ賞のときです。

 フェミナ賞っていっても、有名なほうじゃなくて、すでに姿を消してしまったほうのヤツですので、もはや「歴史」となってしまった観もあります。かく言うワタクシ、恥ずかしながら今回はじめて、同賞の主催・発表媒体であった学習研究社の雑誌『季刊フェミナ』を目にしました。時代は平成1年/1989年、しかしそんなことを感じさせない「創刊のことば」の何とも大仰なこと。やたら新鮮です。

「今、私たち三人の現役の作家が集り、新しい才能の出現のために、ささやかながらまたひとつの文学への門戸を開くことにした。

 すでに何十年も作家を職業として書きつづけながら、かつてひとり手さぐりで習作していた頃の孤独と不安と自信のないまじった心の昂揚を忘れることが出来ない。つい昨日のように思い出されるそれ等の日々と同じ情熱と不安を今抱いている人々のために、新しい雑誌を送り出すことにした。

 私たちは発見した才能の芽が大輪に開花するまで、手ぬきをせず見守る園丁でありたい。」

 との「創刊のことば」の主は、同誌の編集委員に名を連ねる3人の女性。大庭みな子瀬戸内寂聴田辺聖子。実際に書いたのは寂聴さんだそうです。

 まあいわば、新しい書き手を発掘して育てる気満々といったところ。寂聴さんいわく「今度の雑誌はフェミナ賞を中心にして編集していく新しい投稿雑誌で、選者の三人が編集の責任も負うという点に特色がある」んだそうです。

 果たして、その一発目であり、かつ誌命2年間での最大最高の成果が、「フェミナ」創刊記念と銘打たれたこの第1回フェミナ賞だった、というのはたぶん明らかですよね。

 概要は、こんな感じでした。

■選考委員

  • 大庭みな子・瀬戸内寂聴・田辺聖子・藤原新也(海外旅行中のため欠席)

■応募総数

  • 1,098篇

■最終選考委員会開催日

  • 平成1年/1989年2月14日

■最終候補 全8篇(…◎が受賞作)

  • 井上荒野「わたしのヌレエフ」◎
  • 江國香織「409ラドクリフ」◎
  • 木村英代「オー フロイデ」◎
  • 高崎綏子「地上漂流」
  • 福富奈津子「小さな貴婦人」
  • 藤邑藍子「シルバー・プラン」
  • 丸岡泉穂「あふれた無邪気が罪になる」
  • 本吉洋子「夢のトポロジー」

■賞金

  • 各70万円

■発表誌

  • 『季刊フェミナ』創刊号[平成1年/1989年5月]・学習研究社刊

 初回だからでしょうか、学研も太っ腹なところを見せ、3人も受賞者を出しちゃいます。ええと、学研が太っ腹というか、賞金総額100万円を予定していたのに、なぜか途中でプラス100万円を寄付してくれたオリエント・ファイナンス社が太っ腹と言うべきですか。

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2008年7月 6日 (日)

第139回直木賞(平成20年/2008年上半期)候補のことをもっと知るために、「初心」に帰ってみる

 「これぞ名候補作」のご紹介は2週間ほどお休みです。「昔の直木賞のことならいろいろ知りたいけど、ふん、最近のハナシには全然興味ないぜ」という、毎度拙ブログをご覧いただいている方、申し訳ありません。7月20日にまたお会いしましょう。どうかお元気で。

          ○

 さて、半年に1回、選考会の前には、楽しくその日が迎えられるようにと、拙ブログでは、なんとか自分の視点で候補作のことを取り上げています。前々回は吉川新人賞山周賞との関わり、前回は「このミス」との関わり、と無理やりでも候補群を大観できる切り口を持ってきたんですけど、うーん、今回はけっこうやっかいですぞ。

 第139回(平成20年/2008年・上半期)の6人の候補作家、6つの候補作を、ザクッと一目で見渡せる見方なんてあるのかいな。……思いつかないので、ここは初心に帰りまして、「初心」に帰りましょう。

 ってことで、まずは一つの図をこしらえてみました。

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 今回の6候補は偶然にも(でもないか)、みんな公募賞を受賞した経験を持ち、そこから作家活動をスタートしています。たとえば井上荒野さんは平成1年/1989年フェミナ賞を受賞、三崎亜記さんは平成16年/2004年小説すばる新人賞を受賞、って字づらでは目にしているし、理解しているつもりだったんだけど、やっぱり視覚化してみると、各人の作家歴の長短がよくわかるなあ。そしてこう見ると、アレノ姉さんの20年っていうのは段違いだなあ。

 ついでに、前回第138回(平成19年/2007年・下半期)はどんな感じだったんだろう、と思って同じ縮尺でつくったみた図がこちらです。

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