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2013年1月16日 (水)

第148回直木賞(平成24年/2012年下半期)決定の夜に

 安部龍太郎さんが57歳での受賞。すごい! 素晴らしい! 安部さんの正統派歴史人物評伝『等伯』が、直木賞に新時代を切り開きました。今晩決まった第148回(平成24年/2012年・下半期)の直木賞もまた、期待どおり、心おどりましたよねえ。

 おっと。受賞者はもうひとりいたんでした。朝井リョウさんです。朝井さんを後回しでご紹介しましたけど、他意はありません。ウソです。意図的です。そりゃあ、うちみたいな辺鄙な専門サイトが、とくに声を重ねることもないですもんね。

 とか言いつつ、直木賞騒ぎで明け暮れる当日の夜に、わざわざブログエントリーを書いて、声を重ねているわけでして、どうもすみません。ささっとすませます。

 まずは、当然この方たちがいなかったら「楽しい直木賞の夜」は訪れなかった、直木賞の主役といっていい4つの候補作について、です。

 各所で大評判の作家なのに、どうにも手を出しかねていて、『ふくわらい』が直木賞の候補になってはじめて、西加奈子さんの小説、読みました。他の西さんの小説にも、これで抵抗なく進んでいける気がして、ああ、ワタクシみたいなオジさんでもしっかり楽しませてくれる西さん、頼もしいです。今後、うちのサイトの候補作家(あ、受賞作家になるかも)の群像ページにある「受賞歴・候補歴」欄を更新していくのが、いまから楽しみです。

 いやあ。ワタクシは個人的に、今回は伊東潤さんでバシッと決まり、と思っていたんだけどなあ。『城を噛ませた男』からのグレードアップ、『国を蹴った男』。ホント面白い小説集だし、がんがん読まれるようになってくれると嬉しい。いずれ、伊東さんのほうが直木賞を超えちゃう予感がぷんぷんするんですが、その折りには、ぜひ直木賞をもらって「直木賞のほうの」名を高めてやってください。

 志川節子さん。『春はそこまで』の本のナリからは想像もつきませんでしたけど、設定も筋の運びも、そうとうなチャレンジャーとお見受けしました。チャレンジ精神あふれる小説、ワタクシは好きです。だいたい直木賞なんちゅうものは、人の欠点をあげつらわなければ成り立たないご商売です。そんなものに落とされたぐらいで、どうということはありません。今作で見せてくれたような挑戦意欲あるかぎり、志川さんの未来は明るいぜい!

 うちみたいな辺鄙な専門サイトが、とくに声を重ねることもないですもんね、パート2。ええ、多くは語りますまい。ただただ、有川浩さんには感謝です。どう考えたって、直木賞を毎回注目している稀少人種より多い、『オール讀物』の読者よりもっと多い、圧倒的に多い有川さんの固定読者の目を、一回だけでも直木賞のほうに向けさせた功績。これはもう、礼、拍手、礼、拍手、礼、拍手、礼、……。

          ○

 礼、拍手、といえば、はい。これからしばらく朝井リョウさんには、直木賞のほうがお世話になります。直木賞は根はイイ奴です。だけど、たびたびイヤな下郎になり下がることがあります。数々ご迷惑をおかけすることになるかと思いますが、どうぞ適当に付き合っていっていただければと思います。

 今回、偉大なる記録を樹立したのは、安部龍太郎さんです。twitterでも書きましたが、前回の候補が第111回(平成6年/1994年上半期)、そこから長い長い年月を経て18年半。これだけ長く候補にもならず、次の候補で受賞したのは、直木賞史上、安部さんが最長です。つまり、これはひとえに、直木賞メの不徳の致すところでありまして、18年半も直木賞はどこに目を付けていたのか、直木賞の恥ずかしい醜態でもあります。

 安部さんこそ、直木賞などとらなくてもずーっと愚直に作家道を歩まれるだろう方です。メディア対応は若いモンに任せて、ぜひ己のめざすところを邁進していってください。

          ○

 いつも、受賞の夜のエントリーでは、最後にネット上での直木賞(と芥川賞)が発表された時刻を書き残しています。

 ワタクシがネットをはじめた頃は、日本文学振興会のサイトなどなくて、速報といえばまず新聞社のニュースページで、それからあわてて自サイトを更新していたものでした。それから、振興会のサイトができ、新喜楽&受賞会見場での発表に合わせて同サイトが速報ナンバーワンの座をゲット。当然その座は揺るぎないものと思われていたのですが、ニコニコ生放送がはじまってまさかの転落。今回などは、ニコ生で受賞が確認できてから、2~3分遅れで振興会サイトが更新されていました。

 しかも、今回は(たぶん)黒田夏子効果で各新聞社のテンション上がっちゃって、各社サイトで続々と速報を打つ、っていう展開に。直木賞速報もその恩恵に、しっかりあずかっちゃいました。

  • ニコニコ生放送……芥:18時49分(前期比+2分) 直:19時42分(前期比+19分)
  • 読売新聞〔速報〕……芥:18時50分 直:19時43分
  • 毎日新聞〔速報〕……芥:18時51分 直:19時44分
  • 日本文学振興会(主催者)……芥:18時53分 直:19時45分
  • 朝日新聞〔速報〕……芥:18時51分 直:19時47分

 時代は目まぐるしく変わります。うちのサイトもいつまで、ここに付いていけますことやら……。

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コメント

書き出し笑いました(笑)
「大衆選考会」には書くの忘れてましたが某知恵袋で予想的中させました!
今回は特に激戦だと思ってたんで気分がイイです(^^)

投稿: しょう | 2013年1月17日 (木) 22時55分

しょうさん、

笑っていただけて嬉しいです。書き出しはワタクシの本心でもありますので、
それで笑っていただけて、とくに嬉しさ倍増です。

お。予想的中ですか。ワタクシは本文に書いたとおり
『国を蹴った男』がとるんじゃないかと思っていたので
(というか、これまでもズバリ的中させた経験が思い出せません……)
予想が当たる方って、ほとほと感心しちゃいます。

投稿: P.L.B. | 2013年1月18日 (金) 02時49分

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